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怪人と喜劇役者 あるいはワタシも

by コウジアナーダ

これは喜劇だ。ただし、ごく普通の人間の喜劇。

笑うことを楽しめないなら、それは。。

映画「ジョーカー」トレイラー映像

昨日、映画「ジョーカー」を見てきた。

ということで、久々に映画のブログを書いてみようと思う。ほんのりとネタバレ成分を含むが、もしかしたらソレさえもこの映画を見るきっかけになっていいのかもしれない。

ただ、事前情報ゼロで映画を楽しみたい方は【↓ココからネタバレが混じるよ↓】マークまで読みすすめ、一旦ブックマークに入れておき、映画を見たのちに再び読み進めるのがよろしかろう、とお伝えしておくことをワタシは忘れない。

狂人ジョーカーと違って、ワタシは紳士なのだ。

戦慄の狂人JOKER

過去のワタシのブログを見られた方はご存知かもしれないが、そもそも映画自体を見る頻度も高くないので生涯通して、映画館で見た映画はおそらく30本未満だ。

そんなワタシだが、2008年の夏「ダークナイト」という映画を見に行き、ヒース・レジャーという俳優の演じるジョーカーに魅了されたことがある。

JOKER(ジョーカー)バットマンシリーズに出てくる悪役(スーパーヴィラン)の一人なのだが、ワタシはバットマンの年代からは少しはずれているし、それほどバットマンが好きなわけでもない。

けれど好きな映画ベスト3に入るほどにはダークナイトが好きなのだ。

もともとそんなにバットマン詳しくないから余計にそう感じたのもあるだろうが、ジョーカーを主役と言ってもいいくらい、スクリーン上の白塗り男は、まぎれもなく狂気の怪人だった。怪演、というのだろうか。

残念なことに、ヒース・レジャーはダークナイト公開前に急逝してしまうため、続編のダークナイト ライジングなどには出ることはなかった。ワタシはライジングは見ていない。もちろんダークナイトの前作であるバットマン ビギンズも。

そもそもワタシは「この俳優が好きだ!」となることは少ない。

映画やドラマをストーリー重視で見るから、見られる程度で演技してくれていれば誰が出てても別にいいのだ。

現に、今回のお話のテーマにした映画ジョーカー主演の不死鳥一輝こと、ホアキン・フェニックスさんは誰なのかさえ知らなかったし、出演者で唯一わかるロバート・デ・ニーロも出てたのをエンドロールで知った。

そんなワタシが好きになった数少ない俳優さんのひとりがヒース・レジャーだ。他にはモーガン・フリーマン先輩などがいる。映画セブンのモーガンフリーマンは・・・もう、震えるほどにシブい。

話に戻ろう。

ジョーカーを演じるホアキン・フェニックスさんも有名な俳優さんなのだそうだ。映画好きの友人に聞いたら、

「リヴァーフェニックスの弟、顔が四角い」

と返ってきた。

リヴァーも知らんがな、と思ったらリヴァーさんは「スタンドバイミー」に出てたそうだ。

兄の方が幻魔拳を打てそうな気もする。

(結果的に、映画ジョーカーではホアキンが鳳凰幻魔拳を放つのだが)

見るまでの葛藤

ワタシの中で、見たい気持ちと見たくない気持ちが競り合った。

ジョーカーはヒース・レジャーなのだ。

チャックウィルソン本人やファンの皆様方は怒るかもしれないが、世代的にワタシにとってはヒースが狂人ジョーカーなのだ。

そのイメージを超えることはないだろう、と始めから思っているので、見たところでどうせ、という気持ちはあった。

ただ、気にはなる。なんせ、映画ジョーカーは

ーー

普通の人間がバットマンの敵役であるジョーカーになるまでのストーリー

ーー

と言われているのだ。

普通の人が狂気に堕ちてジョーカーとなるまでの事前譚なのね。

面白そうじゃない。

ならばヒースとは違う人でもいいんじゃないの?

ならば見てみようじゃないの。

とあいなった。

そして、見終わってすぐ生まれた感想をここに書こうと思う。

これってジョーカーを題材に、バタフライ効果を波状的に見せるタイプの、サスペンスでありサイコホラー的な映画か。

まぁ、演者で持たせるタイプでよくありがちなストーリーで、なんて言うか普通やねぇ。

なんで評価高いんやろか?

だった。

だが、終わって2時間ほど経って・・・

家に帰ってご飯を食べながら、ずっと考えていた。

あれ、これって?

さて、上に貼ったトレイラーで見られる程度のネタバレを含みつつストーリーと合わせて書いていこう。

【↓ココからほんのりとネタバレが混じるよ↓】

【↓ココからほんのりとネタバレが混じるよ↓】

【↓ココからほんのりとネタバレが混じるよ↓】

普通の人間アーサー

老齢の母を介護しながら売れない大道芸人としてコメディアンに憧れ生きる中年男性アーサー・フレック。年の頃は40代後半だろうか。

また緊張など精神的な負荷がかかった際に突如笑いだしてしまうトゥレット障害といわれる持病を持っていた。

街の悪ガキに仕事のじゃまをされ、護衛のために同僚から武器を渡されるが、それが原因で仕事をクビになり、笑いたくもないのに笑い、笑われ、殴られ、そして。。

アーサーは耐えていた。

治ることのない病に。

我が身とりまく環境に。

蔑む人々の目に。暴力に。笑いに。

きっと全てに耐えていたのだろう。

誰しも経験はあるだろうが、耐えることは溜めることに他ならない。

たまればいつかは吹き出すのだ。いつか必ず。

アーサーはゆるやかに狂気していく。狂気により黒く黒くなり始める。

その黒を塗り潰すかのように、アーサーは顔を白く塗ってピエロを演じようとするのではないだろうか?

狂気の道化を演じ始めるが、それでもアーサーは普通の人間だ。

コメディアンを夢見る普通の、狂った、人間。

やりたかったことは、スタンダップ・コメディ。

堕ちていくサマは正直なところ、見ていて少し辛かった。

苦しみながら笑うアーサー。

まわりに合わせるように笑うアーサー。

笑うアーサー。

笑えないワタシ。

そして、物語が中ほどまで進んだ頃だろうか。

ある少年とアーサーが出会うシーンがあるのだが、ワタシはこの時ある感情を抱いた。

ジョーカー、おっさんすぎひん?

少年の名はブルース・ウェイン。

街の権力者であり、アーサーの母と関係がありそうな男性トーマス・ウェイン」の息子であり、後にバットマンになるのがこのブルース少年だ。

が、どう見ても小学生くらいのブルースに対して、ホアキン・フェニックス演じるアーサー(ジョーカー)が40代後半くらい。(ホアキンの実年齢は45歳だそう)

バットマンの世界が仮に10年後としたらジョーカー60近いやん。とか思ってた。

だが、まぁ、ジョーカーは怪人だしな。なんか色々薬品とかで若返りを果たすんかな、などと思っていた。

【↓ココからは核心が混ざったネタバレを含むよ↓】

【↓ココからは核心が混ざったネタバレを含むよ↓】

【↓ココからは核心が混ざったネタバレを含むよ↓】

おそらく違う

そうなのだ。

ただの一言たりとも、主人公アーサーが「あの」ジョーカーであるとは言及されていなかった。ただ、ピエロの姿をした狂人だっただけなのだ。

年齢差を考えても、ヒース・レジャーが演じたあのバットマンの敵の「あの」ジョーカーではないと考えるほうが自然なのだ。

ならば、このアーサーの凶行をもとに、あらたなジョーカーが生まれた、

といった、これまたバタフライ効果を表した話なのだろうか?

なにか違う気がする。

物語の終わり

大規模な暴動を引き起こす主原因となったアーサーは、かつて母が、そしておそらくは過去に自身が収容されていたであろう精神病院にてカウンセラーと面談している。

突如アーサーは笑い出す。

が、いつもの病気とは違う笑い。

心の底からの、本当に楽しそうな笑い。

怪訝そうにその笑いの真意を問うカウンセラーに彼は言う。

「ジョークを思いついたんだ。だけど君には理解できないよ」

うろ覚えなのだが、たしかこんなセリフ。

そして、(これもうろ覚えで順序は逆かもしれないが)この「ジョークを〜」の直前、画面には暴動により父と母を亡くしてしまう「ブルース・ウェイン」少年の映像が映し出されていた。

兇弾に倒れる父と母を横に立つブルースの映像で「ジョーク」?

劇中、アーサーに妄想癖があることは表現されていた。

ならば、もしかすれば「バットマン」というストーリーそのものが、アーサーが思いついた「ジョーク」なのだろうか?

いや、そもそも、妄想癖のあるアーサーは

いったい、いつからこの病院にいたのだろう?

道化師ジョーカー

道化師。洒落や冗談を言う人。喜劇を盛り上げる人。

財政難によって医療福祉を打ち切られた貧困者層のひとりが偶然起こした事件によってライオットが起こる、という、社会問題提起要素もなくは無い。

が、これは喜劇だ。

きっと誰が主役の喜劇だったとしても、普通の人間には違いない。

スーパーヒーローも、ダークナイトも、スーパーヴィランもいない。

普通の人間が、ただただ普通に狂っていくだけのおはなし。

笑うということがこんなにも悲しくて、

笑えるということがこんなにも幸せなんだと錯覚できる狂気の喜劇。

最後に

ワタシは劇中、ヒースとホアキンを比べてしまいながら映画を見ていた。

どうしても比べてしまうのだ。

あぁ、やはりヒース・レジャーは完全にジョーカーだったなぁ。と。

たしかにジョーカーっぽいシーンはいくつもある。

だけど、ホアキンはどうしても普通のおっさんにしか見えんなぁ・・・と。

(今から思えばこれすらもきっと監督とホアキンの謀略だろうと思うが。)

しかしながらそのホアキンが、ほんのワンシーンだけ恐ろしくもかっこいい、ヒース・レジャーに勝るとも劣らないジョーカーとなったシーンがあった。

暴動巻き起こる地下鉄から、タバコをくゆらせひとり悠然と歩くシーン

もしかしたらこの瞬間だけは、ワタシ的にはヒースよりかっこよかったと言えるかもしれない。

時間にしてほんの数秒だが、このシーンを映画館で見るためにもう一回見ても良いかもしれない。

最初に貼ったトレイラー映像には出てこないが、英語版の「JOKER Final trailer」にはそのシーンが出ている。

しかし少しでも映画ジョーカーに興味があって、まだ映画を見ていないままこのブログを見てしまった方がいたとすれば、なるべくなら広いスクリーンでぜひそのシーンを見てほしいと思う。

ジョーカーなりの喜劇映画を。

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