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十とサウダージとワタシ

by コウジアナーダ

 つい先日、2018年7月31日。ワタシが税務署に開業届けを出してからまる十年経った。

ということで、今日はスタイルエープラスについて一心不乱に書き乱れてみようと思う。

十年一昔

 十年一昔(じゅうねんひとむかし)という言葉がある。

これは世の移り変わりが激しいことを「十年」を一つの区切りとして捉えた言葉で、十年も経てば、もう昔のことといえるよ、というような意味だ。

 この背景写真は創業当時のワタシで、創業後ほどなくして商工会議所の冊子に載せて頂いたときのものだが、確かにひと昔のことといって間違いないだろう。なんせ痩せている。

話はそのひと昔前、創業直前にまでさかのぼる。

 ワタシはとあるメーカーに勤務していた。そこで自社商品を販売するネットショップのサイトデザインや運営の補助などをしていた。そしてささいなきっかけで会社を辞める機会が訪れたので、ポーンと辞めて独立してみた。完全ノープランというやつだ。

そもそもこの会社に入ったこと自体、

「今、自分が独立するとして何がたりないだろう?」と考えて、頭に浮かんだ「ネットショップのノウハウ」を吸収したいがためだったので、いわば良いきっかけだったと言えよう。会社からすればたまったものではないだろう

が・・・

これが2008年7月の頭ごろの話。

晴れて勤め人ではなくなった無職のワタシは「開業届け」を出そうとして、あることに気づく。

名前、なににしよう?

 そうなのだ。独立後の自分の社名となる屋号を決めていなかった。ということで、屋号を決めることにした。

当時、勤めていた会社にワタシより歳の若い先輩がいたのだが、この先輩がワタシの仕事のお手伝いをしてくれていた。

 先輩と言いつつも、ワタシが個人的にウェブサイトの作り方を指導していたので、よく考えるとワタシの人生最初の生徒だ。

ちなみにお金はもらっていた。払わないと互いに実が入らない、とどこかの格闘家の組み手のようなスタンスでお互い挑んでいた。

 この先輩若人(せんぱいわこうど)はもっぱら宣伝活動を手伝ってくれていた。肩書きは広報。正直かなり助けられた。その先輩若人と幾度か名前や今後の方向性についてミーティングをした。

そして、時は来た!

(by橋本真也 R.I.P)

サウダーヂな夜

その日ワタシと先輩若人は、市街地にある「サウダーヂな夜」というカフェバーにいた。

サウダーヂな夜の食べログはこちら

 サウダーヂな夜、通称サウダーヂはきわめて雰囲気がよかったので、ワタシ達はよく打ち合わせの場所として使わせてもらっていたのだが、名前が降ってきたその日、いつもよりやや長い時間を使っていた。

いつもは先輩若人の仕事終了を待って19時すぎくらいから夜ご飯を食べながら1~2時間程度「あぁでもない、こうでもない」と議論をしていたのだが、その日は違った。日付が変わる手前頃まで話し込み、さすがに小腹が減った、といくつか追加注文をした。

頼んだもので唯一覚えているのはミックスナッツ。なぜならば、

「もう、名前はミックスナッツでいいんじゃね?」と、不穏当な発言がどちらの口からか飛び出し、もう片方が

「えぇな」と言った記憶があるからだ。危なかった。

実際、ミックスナッツの響きは良かったが、意味が通らないな、と頭で考えながら口ではナッツをぽりぽりしていた。そのとき、ふとひらめいた。

スタイルエープラス

 ワタシの灰色の脳細胞にアガサ先生のペンが入った気がした。

灰色の脳細胞?~コトバンク~

※知らないアナタは、ミステリー苦手ですね。これがメンタリズムです。どれでもいいからポアロシリーズ読んでみて下さい。古いとか王道とか関係なく小説として面白いから。

ポアロはこの際どうでもいいとして、スタイルエープラスという言葉の響きがこの上なくしっくりきたのだ。

 この屋号を決めるにあたり「英単語2つか3つの組み合わせ」を基本ルールに話していた。だから「ミックス」と「ナッツ」でも良かったのだ。

このルールのもと、やりたい事の英単語を考えていくと「スタイル」と「プラス」がずっと浮かんでは消えていた。そしてナッツをぽりぽりしているとなぜか「エー」が加わり「スタイルエープラス」が出てきたのだ。

集合した豆たち」で決まりそうな、綱渡りのような瞬間を乗り越え、ワタシが十年つきあうことになる屋号はこうして決まった。

音と言葉

 ワタシは言葉にこだわりがある。

座右の銘は「言葉は力を持つ」という言葉だ。ちなみにこれはワタシが勝手に作った言葉である。

 それと同じくらい音というものをとても大切に思っている。愛娘の名前も響きを第一優先で決めた。

音にこだわりがあるのは物心ついたころからだが、こだわりが強くなったのはバンドをし始めたハタチの頃くらいからかもしれない。

そして音にこだわる理由で思い当たるものがもう一つだけある。

共感覚について

 ワタシには奇妙な感覚がある。

全てではないのだが音や音楽が聞こえると色が見えるのだ。自分では「脳の混線」と呼んでいたが

「それは共感覚というんですよ」

と、3年くらい前に友人に教わった。ちなみにこの友人もワタシより若い。いわば友人若人(ゆうじんわこうど)だ。

この、共感覚があるということはあまり人に言わないようにしていた。このころまでに知ってたのはせいぜい嫁さんと一番長くやっていたバンドで今も唯一友達づきあいのあるベースくらいか。(友人ベースだ。そのうちブログに出てくるだろう。)

 この共感覚、つかみとしてはちょっと面白そうなのに人にはあまり言わなかった。というか、言えなかった。

なぜか。

実に中二病くさいからだ

また、この話題を口にした後はなんとも言いづらい空気にしかならなかったからでもある。

だが「共感覚」という言葉を教えてもらい、ネットで検索すると意外とたくさんいることを知った。

「触ったら音が聞こえる」とか「色を見ると味がする」とか。

ひとりじゃないって、素敵なことね。と誰かがささやいたかどうかは覚えていないが、このとき、自分はそんなにおかしくないんだとATフィールド的なナニかが割れた気がした。

そこからは、話の流れで人に言うことが多少増えた。それでも、共感覚という名前のくせに共感されにくい話題なので

「はーい、自分、共感覚持ちです!」

なんて口にすることはほぼないが笑

あとは、教えてくれた友人若人に

「共感覚持ちは天才が多いらしい」

と言われたことも大きい。

ただ最近、あまり共感覚が出なくなってきてたので、もしかしたら天才じゃなくなってきたのかもしれないが・・・

その感覚が「スタイルエープラス」は青色に近い色を感じさせた。いちばん最初は濃紺に近い青。

その後、スタイルエープラスのキーとなる色は十年かわらず青のままだ。

もっとも、名刺を刷り直す度に色が違って見えるので、その都度変わるのだが、青色の系統からはみ出したことはまだない。

 実はワタシは、青色という色がなぜかはわからないが昔から好きではなかった。青い服も1着だけしか持ってなかった。しかし、スタイルエープラスにはなぜか合っている気がした。

喜ぶ顔だけを見たがってた青いやつ。とは、B’zの曲の一節だが、ワタシは正にこれだった。

 ワタシが人間的なコンセプトとしてずっと青くさいままでいたいというのを持っていたこと、そして何より響きがたまらなく好き、そんなような理由からこの名に決めた。

そのスタイルにAをプラス

 これがスタイルエープラスのコンセプトでありキャッチコピーになった。

十年前からかわらずだが、なんだかわかりにくいとよく言われるキャッチコピーだ。

人でも会社でも、必ずそれぞれのスタイルがある。そこに何か(Anything)をプラスする。

というのがピタリとはまった気がした。ジグソーパズルの最後の一ピースより気持ち良かったこともしっかり覚えている。

よって源流はAnythingのAなのだが、ActiveだったりAdvanceだったりと「A」が付く単語はとても多いことに気づき、何重にもかかる「A」がもはや最高に思えて、その日帰ってすぐロゴを作った。

つい昨日のことのように思い出す。

 ちなみにワタシ、コウジカネマサはもともとコウジアナダだった。

改姓してカネマサになったのだが、以前はアナダだったため、「AnadaのAですか?」とよく聞かれた。

おそらく100人以上には言われた

が、今は言われなくなったのでとても楽だ。名字がカネマサになって唯一良かった点だといえる。

名字なんて記号です。という考えのワタシなので、それ以外には特にメリットもデメリットも感じていない。

 そうして屋号の決まったワタシは、その他もろもろを整えて7月31日を開業日と定め、税務署に届け出をして晴れてスタイルエープラスの人を開始した。

いざ独立してみると、自分に「お客さん」がいないことに気づく。

なにせ前職はメーカーの自社ネットショップで、しかも内勤だ。実は会社づとめをしながら知人のウェブサイトやチラシを作ってみたりはしていたが、それすら当時は作ったらおしまいの状態で、営業先になるような知人などもほぼいなかった。

ゆえに開業後しばらくは仕事の確保がひじょーに大変だったのだが、これはまた別の機会にでも書こうと思う。

プラスしたものはなんだったのか

 ひと昔まえの話を思いだしながら書いてみた。

ワタシという人間の根本的な「スタイル」はおそらく十年前とあまり変わっていない。

十年で足されたのはどんな「A」だったのだろうか?

Active?

確かに、仕事に対してのアクティブさは増した。

Advance?

確かに、十年前よりは前に進んだ気はする。

AID?

助けたことも助けられたことも多々あった。

いくつでも挙がる気がする。

 十年は確かにひとつの区切りだ。

けれど終着点でもなければ、褒めたたえるほど素晴らしいことでもではないことは、ワタシの立ち位置から見渡すだけでもずいぶんたくさんいる同業の先輩方の多さが証明している。

追いかけてる間は、ずっと楽しい。

終わらないからだ。

 次の十年もスタイルエープラスとして区切れるよう進んでいこうと思う。

青色系のロゴのまま、おそらく十年後も何かしらのブログのようなもので、同じような文章を書いているだろう。

未来が見える共感覚はないけれど、

多分、きっと。

サウダージとはなんだったのか?

親愛なるコトバンク先生にこうある。

“遠い昔や失われたものにひかれる気持ち。郷愁。ポルトガル語”

サウダージ ~コトバンクより~

遠くはない昔だが、ひかれて書いたことに違いはない。

このブログはまさにサウダージな夜の生み出したものと言っていいだろう。

サウダージ(ポルノグラフィティ 公式Youtubeより) 名曲である。

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